どんな感情も「目的」から生まれる

感情には目的がある。
陽性感情と陰性感情。そして時間軸

以下、岩井俊憲氏の「人間関係が楽になるアドラーの教え」からの引用です。

・どんな感情も「目的」から生まれる

人間関係にはどうしても感情の問題がつきまといます。

感情のうまいコントロール方法を、アドラー心理学から学んでいきましょう。

普段私たちが抱いている感情は大きく二つに分類されます。

「陽性感情(プラスの感情)」と「陰性感情(マイナスの感情)」の二つです。

さらに、この二つの感情にはそれぞれ、「現在」「過去」「未来」の三つの時間軸があります。

たとえば満足感というのは、今起きた出来事に対して湧き起る現在の陽性感情といえます。

また、怒りというのは瞬間的なものですから、現在に対しての陰性感情です。

こう考えていくと、感情のほとんどは現在という時間軸に分類されます。

達成感や祝福感、ゆとり感、幸福感、親近感などが現在の陽性感情です。

現在に対する陰性感情には恐怖、嫉妬、猜疑心、いらだち、悲しみ、混乱、羞恥心などがあげられます。

一方過去に対しての感情もあります。

過去に向けられる陽性感情は「なつかしさ」や「許し」です。

過去を振り返って、楽しかった出来事を懐かしんだり、恨んでいた人を許したりするのは、過去の陽性感情の働きです。

過去の陰性感情は「後悔」や「恨み」です。

私たちは「なんであのとき、こうしなかったのだろう」などと、過去を振り返って後悔します。

あるいは、親からかつて言われた言葉を恨む、というのも、過去に向かう感情です。

これとは逆に未来に向かう感情もあります。

安心感や期待は、未来の出来事を想像して生まれる陽性感情ですし、焦りや不安、心配は未来の陰性感情です。

ここで重要なのは、過去に対しての恨みと許し、そして未来に対しての不安と期待は、それぞれコインの裏表だということです。

ちょっとした条件や要素の変化によって、両者はめまぐるしく反転します。

また時間の経過によっても感情は変化していきます。

たとえば、入学試験の結果を期待していたけど、失敗した直後に失望に変わるといった具合です。

これとは逆に、あまり期待せずに見た映画が面白くて満足感を覚えたような経験は誰でもが持っているはずです。

私は研修で、参加者に「あなたはここ2~3年の出来事を通じて、どのような感情を味わいましたか?」とチェックしてもらう機会を設けています。

そうすると、感情はそれぞれ個人差があることがわかります。

人は、同じ出来事に接しても、同じ感情を抱くとは限りません。

また、現在中心の感情を持つ人もいれば、未来志向の人もいます。

ただ、共通していえることは、アドラー心理学では、感情には目的があると考える点です。

怒りも期待も不安も、何らかの目的に向けて使われるもの、とアドラーは考えたのです。

そして、さらに彼は、感情はコントロールできると主張しています。

なぜなら、感情が人を動かすのではなく、「人が感情を使う」という思想が根底にあるからです。

わたしたちは、感情を目的とTPOに応じて使い分けています。

決して、苦手意識や、好き嫌いという感情に支配されているわけではありません。

一見、自分ではどうしょうもないと思いがちな感情も、必ず自らの意思でコントロールすることができるのです。

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