どんな相手でも、感謝する材料を探す

感謝の気持ちは勇気づけ

以下、岩井俊憲氏の「人間関係が楽になるアドラーの教え」からの引用です。

・どんな相手でも、感謝する材料を探す

他人からの評価を基準した「褒める」から「勇気づけ」に変えるにはどうすればいいのでしょうか。

そこで勇気づけとして最も効果的で、すぐに始められる一つの方法が、「感謝」です。

まず、「あなたの感謝しています」と言って、相手に否定されるケースはほとんどありません。

そして、感謝をするには仕事上の評価もお金も関係ありません。

だから、感謝こそが最も有効な勇気づけとなるわけです。

感謝で人間関係を回復した例を一つご紹介しましょう。

私が、ある企業の研修を行ったときのことです。

休憩時間中に、私のもとに質問にきた1人の女性社員がいました。

話を聞くと、彼女は次のような悩みを打ち明けました。

「実は、最近夫と離婚の話をするようになりました。この研修が終わったら、いよいよ本格的に夫と離婚に向けた話し合いを進めなければなりません」

「あなたは離婚したいと思っているのですか?」

「いいえ、できれば離婚はしたくありません」

彼女と夫の間には小学生の子どもがいるといいます。

普段夫との会話はほとんどなく、その日も、夫に何も言わないまま、子どもを残して宿泊を伴う研修に出かけてしまったそうです。

ひととおり事情を聞いた私は、こう提案しました。

「それなら、夫に感謝を伝えなさい。あなたが研修に来ている今、夫がお子さんの面倒を見てくれているのでしょう?それなら、感謝できる材料があるじゃないですか」

「感謝....ですか?」

「そうです。メールでもいいので、感謝の言葉を贈りなさい」

午後の研修の合間には、一生懸命メールの文章を考えている彼女の姿が目に入りました。

どうやら私のアドバイスした通りに夫にメールを送ったようです。

そして、次の休み時間に、再び彼女が私のもとにやってきました。

「岩井先生、夫からメールが返ってきました」

「どんな言葉が書いてありましたか?」

「心配しなくていいから、研修をゆっくり受けていらっしゃい、と...」

「離婚するような夫婦のやり取りと全然違うじゃないですか。それより、届いたメールには、また感謝の材料がありますよね」

「はい。さっそく返信します」

研修の間、彼女は夫と何度かメールのやり取りを繰り返したそうです。

そして後日、私のもとに彼女から「離婚の話はなくなりました」との報告がありました。

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