褒めるのではなく、勇気づける

ありがとう
貢献感をもてる言葉を選ぼう
タテの関係ではなく、ヨコの関係(たとえ親子でも)

以下、岩井俊憲氏の「人間関係が楽になるアドラーの教え」からの引用です。

・褒めるのではなく、勇気づける

人への勇気づけの具体的な方法をお教えしていきましょう。

褒めることと勇気づけることは、しばしば混同されがちです。

確かに二つの行為は、一見すると似ていますが、明確な違いがあります。

褒めることは、一言で言うと外発的動機づけです。

よりわかりやすく言うと、「人が相手を操作するための行為」ということです。

職場では上司が部下の点を評価し、賞賛することがあります。

これによって部下はやる気を出し、生産性を上げようと努力します。

褒めることは一種の評価ですから、必ず褒める人は上司であり、褒められる人は部下という上下関係が前提にあります。

悪い言い方をすれば「アメとムチ」のアメとして褒める言葉を活用しているわけです。

人は、誰かに褒められると、嬉しくなり、もっと褒められたいと考えます。そして常に褒められるために行動するようになります。

逆に言えば、褒める人がいなくなったとたんに、行動しなくなるということです。

小さな子どもに「お片付けができてエライね」というとせっせと片づけるのですが、いくらやっても褒められないとわかると、全く片づけしようとはしなくなります。

これと同じ原理です。

アドラー心理学では、人間関係を「上下関係」としてとらえてしまうことは、精神的な健全さを損なうものとみなします。

アドラーは、上司と部下だろうと、親と子だろうと、等しく横一線に並んでいる人間関係をベストとします。

もし、横並びを前提とした人間関係のところに「褒める」を持ち込むと、前述したように、とたんに「褒める人と褒められる人」という上下関係が生まれてしまいます。

こうした状況をつくらないためにも、「褒める」のはやりすぎない方がいいでしょう。

一方で、勇気づけることは、内発的動機づけです。

相手が自立して、自分で自分を勇気づけられるよう「困難を克服する活力をあたえること」です。

ここにあるのは、評価する/されるという上下関係ではなく、共感し合う対等な関係です。

たとえ人から言われなくても、自分自身で「これをやればみんなのためになるし、自分も気持ちいいからやろう」と考え、自発的に行動するのが勇気づけです。

こうした行動の結果では人間関係に上下が生まれず、横並びの一体感が生まれていくのです。

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